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魯迅と紹興酒

王宝和紹興酒

魯迅は近代中国の文豪とも言われている偉大な思想家です。

日本に留学した経験もあり、元々医学を勉強していた魯迅ですが、「体の病気を治すより、心の病気を治さないかぎりは、中国人はいつまでも封建主義で古い体質のままだ。」と、人びとの心の病を治すために筆を取り、数多くの鋭い批判の文章と小説を発表しました。

魯迅の生まれ故郷は紹興市です。水の都と呼ばれている紹興市の、たくさんの田んぼを持つ富裕な家庭で魯迅は生まれました。その後、貧しい生活を容赦なく強いられ、父の病気を治すために毎日漢方薬屋さんへ通いました。
 

魯迅は若き日に優秀な成績で来日し、仙台医専で医学の勉強をしました。解剖学を教える藤野先生は、文法の誤りから鉛筆削りまで、何から何まで教えてくれたそうです。魯迅は先生の教えに深く感動し、「先生は偉大だ」と、書斎の壁に先生の写真を貼って仰ぎ見ていました。後日、魯迅は藤野先生や日本での生活を懐古して「藤野先生」という短編小説を執筆します。作中、藤野先生は日本人の中でも典型的な「真面目」な人と書かれていますが、魯迅は単に藤野先生の真面目さを書いたのではなく、中国人の病気を治すために「薬」を示したものだ、と言われています。

中国人の病気とは一体、何でしょうか?中国語で「馬馬虎虎」と表現される言葉、日本語で言い換えると「不真面目、いい加減」です。この病気は当時の統治者ではなく、一般の民衆の病気でした。

魯迅のもう一つの有名な小説「孔乙己」の中に孔乙己という人物がいます。彼は文学を志した男で、減亭酒店という店でいつも紹興酒を飲んでいます。盗みと酒におぼれ、周りにいる一般の民衆は彼を笑い者にしたり馬鹿にしたりするのです。この小説も「不真面目、いい加減」な中国人を描写し、更生を期待するものだったのかもしれません。